ブエナビスタの話(第７話)

こんばんは(*・∀・*)ノ
「ブエナビスタの話」の第７話を書かせていただきます

同い年の牝馬に初黒星を喫したうえに降着まで喰らってしまった悪夢の秋華賞から１ヶ月後、ブエナビスタは再び淀のターフに脚を踏み入れました

☆第７話『届かない』

２００９年１１月１５日、京都競馬場で第３４回エリザベス女王杯(芝外回り2200m)が行われました

1番人気 ブエナビスタ(安藤勝) 1.6
2番人気 ブロードストリート(藤田) 7.7
3番人気 シャラナヤ(ルメール)10.4
4番人気 リトルアマポーラ(スミヨン) 12.4
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11番人気 クィーンスプマンテ(田中博)77.1
12番人気 テイエムプリキュア(熊沢)91.6

秋華賞馬レッドディザイアがジャパンカップに回り、広く直線も長い外回りコースに替わったことでブエナビスタが圧倒的1番人気に推されました

秋華賞で繰り上がり2着のブロードストリートが2番人気、3番人気はフランスから参戦したオペラ賞勝ち馬シャラナヤ、前年の覇者リトルアマポーラが4番人気に推されました

少し時計がかかる馬場状態で行われたレースは11番人気クィーンスプマンテと12番人気テイエムプリキュアが大逃げを打ち、後続を大きく引き離しました
ブエナビスタは後方15番手に控え、先行2騎から10馬身以上離された3番手にシャラナヤ、4番手にはリトルアマポーラがつけました

バックストレッチから第３コーナーに入る頃には先行2騎とシャラナヤとの差は20馬身近くまで広がり、後にアンカツさんが「2コーナーを曲がった時には先行した2頭は見えなかった」と語るほどブエナビスタは先行2騎に置いていかれていました

これだけの大逃げを打ちながらクィーンスプマンテの1000m通過タイムは６０秒５、平均よりやや遅いペースでした

大逃げを打っているのが人気薄の2頭とはいえ、第３コーナーで20馬身差はちょっと開きすぎ、このままでは逃げ切られる可能性が高くなります

しかし後続集団のペースはなかなか上がりません

それはなぜか？

最も大きな原因を作ったのはシャラナヤを駈るルメール騎手ととリトルアマポーラを駈るスミヨン騎手でした
彼らは互いを牽制しあい、なかなか前に行こうとしなかったのです

ブエナビスタはすぐ前を行く５番人気カワカミプリンセスを見ながらレースを進め
他の馬はブエナビスタが動かない限り動けません

マイペースで逃げる先行2騎に対して、後続集団は周りを牽制するあまり誰も動けず、膠着状態に陥っていたのです

第４コーナーに入るころになってから、ブエナビスタはやっと動き出しました
捲り気味に進出し、第４コーナーを抜ける頃には５番手まで上がりました

しかし先行２騎は１５馬身先

ブエナビスタは懸命に追走します
しかし、先行２騎を楽に逃がしすぎたことは致命的でした

ブエナビスタの上がり３Fのタイムは驚愕の３２秒９！
しかし先行２騎をとらえられません
彼女が先頭に立つには上がり３１秒台を出さなければいけなかったのです

上がり３１秒台...ブエナビスタにそれだけのタイムを出すのは無理難題というものです
ブエナビスタはあくまでも競走馬、チーターではないのです

「もうダメだ...」

ブエナビスタを懸命に追うアンカツさんでしたが、この状況ではどうしようもありません

「届かない...」

レースを制したのは残り50mでテイエムプリキュアを競り落としたクィーンスプマンテ、ブエナビスタはテイエムプリキュアにもわずかに届かず３着にとどまりました

大波乱となった第３４回エリザベス女王杯、展開のアヤが生んだ配当金は3連単で１５０万円を越えました

レース後のインタビューで「前を行く２頭は見えていたのか？」と聞かれて「見えるわけがない！」と半ば苛立ちながら答えていたアンカツさんはこのレースを最後にブエナビスタの主戦から外され、その後アンカツさんがブエナビスタの手綱を取る機会は２度と巡ってはきませんでした



※今回はここまでとさせていただきますm(__)m