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2017/03/20 20:12
ホクトベガの話(第21話)
こんばんは(*・∀・*)ノ
「ホクトベガの話」の第21話を書かせていただきます
引退レースとして第2回ドバイワールドカップに出走することが決まったホクトベガでしたが、生まれて初めての海外遠征は彼女の心と体に多大なるダメージを与えていくのでした
☆決戦の地であるドバイに向けて旅立たったホクトベガでしたが、初めてとなる空の旅はかなり過酷なものとなりました
当時はドバイへの直行便はなく、香港・マレーシア等いくつかの経由地で乗り換えを行わなければなりませんでした
競走馬は家畜なので貨物便に乗せられることとなりますが、乗り換えが必要なのは同じことです
ホクトベガは狭いコンテナの中に閉じ込められた状態で24時間以上耐えなければなりませんでした
各経由地では中野隆良調教師が逐一ホクトベガの様子をチェックしていたのですが、やっとのことでドバイ国際空港に到着したホクトベガは完全に参ってしまっていました
狭いコンテナの中に長時間閉じ込められたことで強いストレスを受けたホクトベガは極度の食欲不振に陥り、飼葉を全く食べようとしませんでした
ドバイ到着直後の調教ではキャンターも満足にできないほどでした
試練はまだまだ続きます
右前脚に裂蹄を起こしてしまったのです
ホクトベガの状態は最悪を通りこして危険というべきものでした
弱りはてた陣営はレース回避を真剣に検討しはじめました
「ホクトベガには繁殖牝馬として産駒を残すという大事な仕事がある。ここで無理をして取り返しのつかないことになってしまったら...」
中野師は決断を迫られていました
しかし、中野師は出走を決意しました
苦悩する中野師の背中を押したのは、他ならぬホクトベガでした
ホクトベガは右前脚か痛いはずなのに、そんな素振りも見せずにギャロップで走り、進んで飼葉を食べました
「今になって何グズグズしてんの?男だったら腹括りなさいよ!」
たぶんホクトベガはそう言いたかったのでしょう
中野師率いる陣営の人びとはホクトベガにハッパをかけられて、自らを奮い立たせたのです
紆余曲折はあったものの、ホクトベガの調子は徐々に上がっていき、なんとかレースで勝負できる状態にまでになりました
しかし...
今度は天がホクトベガの邪魔をします
1997年3月29日、第2回ドバイワールドカップ当日のドバイは数十年に一度といわれるほどの猛烈なスコールにみまわれました
ナド・アシルバのコースはとてもレースを行える状態ではなく、順延されることが決定しました
中野師はこの決定に頭を抱えました
あらためてレースが行われる日までホクトベガが調子をキープできるかどうか分からなかったからです
その時点で代替日は決まっていませんでした
日程が延びれば延びるほどホクトベガは調子を落としていきます
中野師は再び回避を考えざるを得ませんでした
「無理はさせたくない...」
重苦しい空気が陣営の中を流れていました
でも、その空気をガラッと変えたのも他ならぬホクトベガでした
その時ホクトベガは機嫌が良く、藤井厩務員や中野師にしきりに甘えていたそうです
「私は大丈夫、元気出しなさいよ(^○^)、レースが中止になったわけじゃないんだから、さあもう一度やり直しよ(^_^)v」
ホクトベガが言葉を話せたなら、きっとこう言って皆を勇気づけたでしょう
「偉い馬だな、お前は...」
明るく振る舞うホクトベガに、陣営の人たちはこみ上げるものを抑えきれませんでした
※今回はここまでとさせていただきますm(__)m
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下町ビスケットさんがいいね!と言っています。
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とうけいにせいさん
猛禽類さん>こんばんは(*・∀・*)ノ
いいね!ありがとうございます(^_^) -
猛禽類さんがいいね!と言っています。
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とうけいにせいさん
のこみゆきさん>こんばんは(*・∀・*)ノ
コメありがとうございます(^_^)
いい馬ほど人間をよく見るし、大抵のいい馬は人間が大好きです
馬は誰のために走るのか?
サンエイサンキューのことを考えると、いつもこの疑問が頭に浮かびます
サンエイサンキューについては想像すらできませんが、ホクトベガはたぶん大好きな人たちのために走っていたんですよ( ´_ゝ`) -
のこみゆきさん
こんばんは(^。^)
胸痛くなるお話しです。
健気ですね。
サンキューちゃんという牝馬のこと、どうしても思い出します。
馬ちゃんらは、人が思う以上に人のこと見ていますね、つくづく感じます。 -
とうけいにせいさん
タヌキち〜んさん>いいね!ありがとうございます(^_^)
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のこみゆきさんがいいね!と言っています。
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タヌキち〜んさんがいいね!と言っています。
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とうけいにせいさん
フランソワーズ♪さん>コメありがとうございます(^_^)
誰もあんな結果になるなんて思わなかったでしょうからねぇ...
判断ミスとは思いたくないですね(-_-) -
結末を知っているだけに、この決断は…辛い(ToT)