トウケイニセイ

岩手競馬を代表する馬はメイセイオペラだが、もう一頭、伝説の馬がいる。
トウケイニセイである。
生涯成績は43戦39勝、2着3回、3着1回、ほとんど岩手だけで走って生涯獲得賞金が約3億円という怪物である。更に驚く事がある。この馬は調教といえるような事は殆んどしていないのである。
この馬は2歳でデビュー戦を勝ったあと屈腱炎を患い、1年半後に復帰したが常に再発の危険はつきまとっていた。
「いつ再発するかわからないから強い調教はできない。(馬体を絞るために)カッパを着せて曳き運動させることしかできなかった。」厩舎スタッフだった人が岩手競馬の専門雑誌でこう語っていた。そんな状態で43戦39勝！怪物というのもおこがましいほど凄すぎる馬だった。「全盛期の7歳(旧表記)の時にドバイに遠征してたら勝てたかも」と
主戦騎手菅原勲は語っている。また彼はこうも言っている。「メイセイオペラは強くなったけど、まだまだトウケイニセイには及ばない」
フェブラリーSを勝った後のコメントである。
去年の夏、ニセイの撮影会が盛岡競馬場で行われた。私は競馬場に足を運び、ニセイの姿をケータイで撮ろうとした。でもできなかった。
涙でシャッターを切れなかったのでは無い。ケータイのメモリーが満杯だったのだ(T-T)
それから2か月ほどたった頃、ニセイは突然亡くなった。私の一生の不覚の話である。