プロレスの話25( 佐山聡)

今週はプロレスの話しか書きたくないのでプロレスの話第２５弾、初代タイガーマスクこと佐山聡について書く。

「プロレス界最高の天才にして変人」

佐山聡を一言で表すとこうである。(以前、アントニオ猪木も変人と書いたが、あれは訂正する。猪木は「奇人」であり、「変人」は佐山のことである)

古舘伊知郎が「四次元殺法」と名付けたルチャ・リブレとアメリカプロ空手流の打撃技を融合させたスタイルは佐山にしか出来ない芸当である。芸術と言ってもいい。(船木誠勝が若手の頃、初代タイガーマスクの動きをまねると必ずケガをしたそうである。それほど佐山の動きは人間離れしていたのだ)

しかし、当の佐山自身は「くだらない」と思いながらやっていたそうである。当時付き人だった山崎一夫も同様の発言をしている。

佐山自身は「今のプロレスはダメ、他の格闘技の選手がスゴいと思うようなものにしなくては」と常々思っていたそうだ。
その思いを体現しようとして作ったのが第一次UWFであり、修斗であり、掣圏道である。
すべて中途半端に終わってしまったが.....

佐山聡ほどプロレスの上手い男はいない。
ただし、佐山聡ほどプロレスを嘗めた男もいない。

彼はプロレスから離れるたびにプロレスを批判し、暴露本まで出したこともある。
でも、自らの理想が頓挫するたびに彼はなに食わぬ顔をしてプロレスに戻ってくる。

彼が「1回目」のプロレス復帰をした直後、エキシビションマッチで獣神サンダーライガーと対戦したのだが、彼は終始ニヤケ顔で試合をしていた。「エキシビションだから適当にやった」というコメントも後になってから残している。
佐山と戦う日を心待ちにしていたライガーは、マスクまで新調したというのに....

以前、丸藤正道と対戦することが決まった時「今は107キロだが試合までに97キロに落とす」と宣言しておきながら、会場で赤福餅に舌鼓を打っているところを目撃されている。(佐山は極度の甘党であり、甘いモノがやめられないので減量に度々失敗している)

そのことを突っ込まれると「減量中でも炭水化物は必要、4つしか食べていない」と弁明し、丸藤から「2つにしておけばもっと楽に減量できるじゃないですか」と呆れられている。

しつこいようだが、彼はプロレスの天才である。
天才であるがゆえに、プロレスを嘗めてしまったのである。藤原喜明は彼のことを「哀れな奴」と評したことがあるが、私も同感である(-_-;)