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2013/07/21 20:06
栗毛馬の話特別編(キンチェム)
ほぼ毎週(笑)日曜日に書いている「栗毛馬の話」。今回は特別編として19世紀後半にハンガリー、ドイツなどで54戦全勝という未曾有の大記録を残した伝説の名牝、キンチェムについて書く。(日本では「キンツェム」という名前で呼ばれるが、正しくは「キンチェム」である)
とりあえずキンチェムについてのことを箇条書きにして述べることにする。
1 1874年、ハンガリーで産まれる。名前の意味はハンガリー語で「私の宝物」だが、実は英語で言う「ハニー、ダーリン」と同義語である。
2 子馬の頃にロマ(ジプシー)に誘拐されたことがある。
3 年齢別の戦績
2歳 10戦10勝
3歳 17戦17勝(オーストリアダービー、バーデン大賞など)
4歳15戦15勝(1か月間で9戦して全勝している、バーデン大賞連覇、イギリスにも遠征して勝利)
5歳 12戦12勝(斤量76.5キロを背負っての勝ち鞍あり、バーデン大賞3連覇)
4 昨年の英二冠馬、キャメロットは数えて17代目の子孫である。
5 2度目のバーデン大賞に出走した時がキンチェムの最大のピンチであった。
※実はこのレースは本競走でプリンスジルスという牡馬と1着同着となり、改めて2頭によるマッチレースで優勝馬が決定された。(ちなみに距離は3200m)
苦戦した理由は騎手が酔っぱらった状態で乗っていたからである(-_-)
優勝決定戦でもキンチェムは突如乱入してきた野良犬に散々ジャマをされて苦戦したが、野良犬を蹴飛ばして追い払ってから猛然とスパート、最終的には6馬身差をつけて圧勝した。
6 牧場の飼い描が親友であり、ある時遠征に同行した猫が2時間ほど行方不明になったことがあった。
キンチェムは猫が見つかるまでの間、ずっと鳴き続けていたそうである。
7 なぜかヒナギクが大好物で、レースのスタート前にはいつも下を向いてヒナギクを探していたそうである。
最後にエピソードを1つ書く。
キンチェムは厩務員のフランキーが大好きで、列車での移動中、寝ているフランキーに自らの馬衣をかけてあげていたそうだ。キンチェムはフランキーが毛布をかぶっている時も、毛布の上に馬衣をかけてあげていた。フランキーもそんなキンチェムが大好きで、なんと自分の名前を「フランキー・キンチェム」に改名するほどであったそうだ。