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2015/02/08 20:55
サクラスターオーの話(その10)
1987年11月8日、秋晴れの京都競馬場で第48回菊花賞が行われました。
1番人気 メリーナイス 2.2
2番人気 ゴールドシチー 8.5
3番人気 ウイルドラゴン 10.6
9番人気サクラスターオー 14.9
セントライト記念を制したダービー馬メリーナイスが抜けた1番人気に推され、ファンの目はメリーナイスの二冠達成なるか、という点に向けられました。
サクラスターオーは休み明けのうえに最終追い切りの時まで陣営が出走を迷っていたという報道のせいもあって単勝14.9倍の9番人気に留まりました。
皐月賞からぶっつけで菊花賞に臨む、常識で考えたら無謀というしかありません。
菊花賞は3000mの長丁場、ステップレースを叩いて息を作らなければスタミナが持たないというのが常識だからです。
おまけにサクラスターオーは2000mまでしかレースをしたことがありません。
「どう考えても最後までもつ訳がない」
これが競馬サークルおよびファンの見解でした。
しかし、東信二騎手だけは自信をもっていました。
サクラスターオーの背中から気迫が感じられたからです。
「これなら勝負できる」
東騎手は輪乗りの中でメリーナイスの鞍上根本康弘騎手に「故障明けの俺の馬に負けたら恥ずかしいぞ」と軽口を叩くほど心にゆとりを持っていました。
東騎手の軽口に根本騎手は何も答えませんでした。
騎手人生で初めてクラシックで1番人気の馬に騎乗する根本騎手は極度に緊張しており、東騎手の言葉が耳に入らなかったのです。
「かなり緊張しているな...あれではまともに乗ることはできないだろう」
根本騎手の心中を見透かした東騎手は自信をさらに深めて菊花賞のスタートに臨むことになりました。
今回はここまでとさせていただきますm(__)m


