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2012/08/06 08:39
アインシュタインの手紙
ルーズベルト大統領への
アインシュタイン博士の手紙
F・D・ルーズベルト合衆国大統領 ホワイトハウス ワシントンD・C
拝啓 原稿で私に伝達されたE・フェルミとL・シラ ードの最近のいくつかの研究は、ウラン元素が、近い将 来、 新しく、かつ重要なエネルギー源となるという期待を私に抱かせます。
現在生じている状況は、ある面で十分注意深く見 守られることが要求され、 さらに必要とあらば、政府当局として、即時、行 動に移すことを要求 されているように思われます。
したがって、私は、以下の事実ならびに勧告について、 あなたの注意をうながすことが私の義務であると信じます。
この4ヶ月間におけるフランスのジョリオとアメリカのフェルミとシラードの研究によって、 大量のウラニウム中に核連鎖反応を起こすことが 可能になり、 そして、それによって、莫大な力と、 多量の新しいラジウム様の元素を生み出すことが 可能になりつつあります。 そしていまや、これが近い将来に実現されるのは 、 ほとんど確実なように思えます。
この新しい現象はまた、爆弾を作ることも可能 にします。 そして、新しいタイプの非常に強力な爆弾が作ら れるということは ---確実というほどでないにしても --- 十分に考えられることでもあります。 このタイプの単体爆弾がボートで運ばれ、港で爆発すれば、 それは港全体を破壊してしまうばかりでなく、 その周辺地域をも破壊してしまうでしょう。 しかし、この爆弾は、飛行機での輸送には、重す ぎることも明らかになるでしょう。
米国で採掘できるウラン鉱石は、非常に質が悪く、 しかも採掘量も多くはありません。 カナダと旧チェコスロバキアでは、良質のウラン鉱石が、いくらか採掘されます。 一方、最も重要なウラン源は、ベルギー領コンゴです。
この状況を鑑みれば、大統領におかれましては 、 政府と(核分裂の)連鎖反応の研究をしているア メリカ人物理学者達との、 持続的接触を密にすることが望ましいと、お考えになってもよろしいでしょう。 これを達成することを可能にする一つの方法は、 あなたが、ご自分の信頼できる人物、 かつ、非公式の立場で奉仕することができる人物 に、 この仕事を託すことかも知れません。 その仕事は、以下のことを含みます。
a)政府の省庁に接近して、さらなる開発に関して周知すること、米国のために、 ウランの確保を確実にする件について特別な注 意をうながす内容の、 政府の行動にむけた勧告を提案すること。
b)現在、研究は、大学の実験室の限られた予算で実施されていますが、 必要なら、かくなる理由で、寄付を惜しまない 私人との接触を通して、 基金を用意することと、そしてまた、必要な設 備が揃っている産業各社の実験室 の協力を得ることで、実験作業を速めることで す。
私は、ドイツが占領したチェコスロバキアの鉱 山からのウランの販売を、 ドイツが事実上停止したことの意味を理解してい ます。 ドイツが、そのような早急な行動をとったことは 、多分、以下のような理由で理解できます。すなわち、ドイツの次官の子息 、フォン・ヴァイツゼッカーが、 ベルリンのカイザー・ヴィルヘルム研究所に配属され、 そこではアメリカのウラン研究のいくつかが、追跡研究されているからです。
敬具 アルバート・アインシュタイン