夏の女は甘くない

ＡＫＢ４８とかのＭＶを見ていると、女同士がべたべたしていたり、
抱きあっていたり、手を繋いだり、キスしたり、していたりするけれど、

まあ、可愛い女の子同士のそうゆうのが男の人の理想なのかもしれないけれど、

実際は、女同士でそうゆうことは、ほとんどしない。
女にとっても、自分の体は大切で、他人に気安く触らせるものではないし、
触ってくるやつは、わりと拒否だ。同性だからとか、関係ない。
例外的に、べたべたするのが好きな人もいることはいるが、
そうゆうひとは、わりと面倒臭がられる。

女同士でべたべたしている人は、
大抵男の人の視線を気にしていすぎるひとか（要するにアイドル）
男の人の存在を自分の関係性の中に絶対に入れたくないバリアを貼っている人だ。
実際、アイドルのいちゃいちゃしている映像を見て、
男の人がドキドキするのは、
最上級の誘われ方で、強固に拒否されているのを感じるからだ。

女は、女の体に興味はあるが、それが相手にとって大事なものだと知っているから、
不用意に触れたりしない。それがとても失礼なことだと知っているからだ。

私はＮＭＢ４８が割りと贔屓で、山本彩ちゃんのファンだ。
彼女の部屋の鏡は絶対姿見だと思うのだ。
姿見、というのは全身が映る鏡で、とても大きい。
大抵の女性は顔がうつるくらいの大きさの鏡しか持たない。
上半身がうつるほどの三面鏡を持っていれば上等だろう。
彼女は顔しか映らない鏡をもしかすると持っていないかもしれない。
でも、絶対に姿身は持っていると思う。
自分の体の動かし方、
どう見せれば綺麗に見せることができるのか、
それをすごく冷静に見るのだと思う。

ぼくはいない、という楽曲のＭＶで、彼女は自分が今何をしなければならないかを
とても冷静に分かっている。
この曲は、自分と一緒にＮＭＢを創世記から支えてきた戦友、渡辺美由紀の卒業曲だ。
とても切ない曲を、渡辺はあえて明るく笑いながら歌う。一見、この子はアホなのか、曲の意味が読みとれないのか、と見ている人は彼女を軽蔑する。でもその後ろ、…渡辺の影で、山本彩がこの曲の本当の淋しさをニコリともせず、表現している。渡辺は自分の後ろで山本が自分の隠している裏側を表現してくれていると信じているのだ。だから、そこで笑うのか、と思う個所で、彼女はカメラに向かって、極上の笑顔を見せることができる。その後ろで、山本が俯いているのが、分かるからだ。
私は、このＭＶを見て、出会って５年ちょっとの女の子が、互いにとってこれほどの相手になれるものか、と思った。
彼女らは、絶対プライベートで手を繋いだりしないだろう。
キスもしないし、抱き合ったりもしないだろう。
励ましあうのに、蕩けるようなお上手を言わないだろう。
ものすごく、ドライかもしれない。
相手を傷つける欠点をはっきり言いあうかもしれない。
けれど、渡辺の卒業発表の時の言葉を借りれば、だ、
彼女にとって山本は紛れもなく、
「友達ではなかったかもしれないけれど…」
でも、
「運命の人」
だったのだろう。

前置きが長くなった。
彼女らを見ていると、夏の牝馬を思う。
戦える体に自分を鍛えて、水着を着て勝負する。
仲良しのふりをしながら、けん制し合う。
自分が一番でアピールできる部分と、バランス、助けてくれる人たちとのチーム力。
女が戦うとうつくしいのは、夏。
夏の、女は慣れ合わない。
ひとりでも、
並んでも、
どちらでも、美しいのだ。

さあ、夏競馬だ！