92件のひとこと日記があります。
2014/04/26 12:33
恋文でも、さよならでもない手紙 ?
2006年、阪神大賞典。
トウカイトリックのレースの中で、このレースが私は一番好きだ。
トウカイトリックと言えば、長い距離を馬ごみの中でじっと我慢して、
4コーナーで「いったいどこを走ってそこまで来たの?!」っていうような
軽業師ワープ走法で馬ごみの狭いところをくぐりぬけてちゃっかり先着、
みたいな走り方で勝つことが多かったけれど、
このレースでは鮮やかに大逃げを打つのだ。
2000mの時点で2着インティライミ(ダービー2着馬)に7馬身差。
しかも、3コーナーではバテたフリして(←後に適正距離が4000mと判明)、
後続(後のメルボルンカップ優勝馬、名ステイヤー、デルタブルースを含む)に、
「おいでおいで(笑)」の挑発をかまし、
「てめーこのやろう(怒)」と着火したディープインパクトが、
鞭も入れられてないのにッ、自発的にッ!、遥か後ろから猛追。 ←恐ろしい勢い(笑)
「来たな」とトウカイトリック、4コーナー手前でディープインパクトを確認。
そのまま置いて行かれるかと思ったら、そのまま馬体を合わせ、競りかかる。
トップスピードになったディープインパクトに置いて行かれない馬を初めて見た。
観客は「ディープインパクトが勝ってあたりまえ」のように思っていて、
実況の人も「トウカイトリック粘っている」と健闘したみたいに言っていたけど、
「違うぞ」
と、私は震えていた。
粘っているんじゃない。
「走れてるんだ」
勝てるかもしれない。
「差し返そうとしてる、まだ!」
この先、いつか勝てるかもしれない。
今は無理でも、未来、
この馬なら、この距離なら、
この馬なら、
ディープインパクトという日本競馬会史上最も神に愛された馬に。
ディープインパクトという馬は孤高であるが故に、
追い抜いた他馬を過去の景色みたいに、
まるで遥か彼方の思い出みたいに色あせてみせることがあった。
背後に「絶望」を残す馬だった。
その「絶望」を私に唯一感じさせなかった馬、
それがトウカイトリックだった。
勝利を確信したディープインパクトが流すようにゴール前を走り抜けた後ろを、
「まだ追い抜いてやろう」とするかのように猛追していくトウカイトリックを見た。
あの頃、
私は運命に勝つ方法をずっと探していたんだ。
叶わないって運命や、持っていないって才能や、乗り越えられないっていう不条理や、
そうゆうどうしようもないことに立ち向かう勇気を、
そのための「自分を信じる力」を持つための方法を、
私はずっと探していたんだ。
トウカイトリックにとって、ディープインパクトは運命だったと思う。
勝てない、という運命だったのかもしれない。
でも、私はトウカイトリックが好きだ。
負けたから弱い、というわけじゃない。
そんなに世界は狭くないから。
勝てたから強い、というわけではない。
そんなに人生は簡単じゃない。
2014年4月16日、
彼が死ぬことは、運命だったのかもしれない。
9回目の天皇賞は初めから彼の運命には無かったのかもしれない。
だけど、それは何の罰でも罪でもない。
彼は最後まで、私に教訓をくれた。
死は、ありのままに来て、ありのままに連れ去る。
彼に何の罪もない。
彼の死は、罰じゃない。
ならば、私の死も、この世の誰の死も、罰で終わらなければいいと思う。
大好きでした、
恋文のように読めるかもしれないけれど、違います。
10年間、
私の人生に寄り添って走ってくれたあなたに、
心からの感謝を。
お別れの手紙のように読めるかもしれないけれど、違います。
あなたは一生の友達。
親友でした。
ありがとう、トウカイトリック。
-
するめさん
蓮馬毛さん、こんばんは。
桜色の勝負服の似合う、どこか可愛らしさの匂う素敵なトリックさんでした。
>>これからは春の天皇賞の時期になると、トリックのこと思い出すような気がします。
わたしもです。
ありがとうございます。 -
蓮馬毛さん
こんばんは。
これからは春の天皇賞の時期になると、トリックのこと思い出すような気がします。
記憶に残る名馬ですよね。 -
蓮馬毛さんがいいね!と言っています。
-
するめさん
おうまの親子さん、こんばんは。
フミノイマージンの掲示板を見てきました。
たくさんのひとが彼女の行き先を天国だと書いていました。
その想いがきっと虹になって、
彼女をきっとそこまで運んで行ったと思います。
彼女を天国まで運ぶ、
たくさんの想いの虹が見えるようでした。
愛されたお馬さんだったのですね。
あなたの心のように、
私の心も一年後、優しい思い出で埋まることを祈ります。 -
するめさん
その光を心の中に与えられた者として、
去っていった彼に心からの言葉を返すこと、
そのために書きました。
彼の居なくなった世界に生きるものとして、
彼のくれた光を心に灯し続けて、守り続けます。
ロジックさんがトウカイトリックを通じて、競馬のこと、
馬のこと、人のこと、より一層愛おしく思ってくださったこと、
本当に嬉しいです。
私からも、ありがとうございました。 -
おうまの親子さん
するめさん、こんばんは。
私は1年ほど前、最愛の馬をレース中の故障で亡くしました。
ふと、思いを重ねあわせてしまいました。
私もトリックさんからはずいぶんと元気をもらったので、「無事引退してこれから穏やかな馬生が待っていたのに」と残念でなりません。
するめさんの思いには、遠く及ばないけれど・・・・。
トリックさんにこの手紙を届けたい。
どんなにか喜んでくれるでしょう。
もし手紙が届かないとしても、するめさんの思いはきっとトリックさんに届いているはずです。 -
ロジックさん
死後の世界があるのかは分かり様も有りませんが、もしも有るのならこの声が、そして皆の声が想いが届いてくれるといいですね。
生きる力を全て注ぎ込んで見せてくれたその走りが、名もある者も名もなき者も、残された者たち全てに沢山の光を与えてくれるのだと思います。
淋しさはあるけれど、残してくれたのは未来へ繋ぐ強烈な光。
それを見せてくれたことに感謝。
今までよりも更に馬が人が、そして競馬が好きに、そして愛おしくなりそうに思います。
ありがとうございました。 -
するめさん
まいさん、こんばんは。
トウカイトリックとセットで思い出してもらえて嬉しいです。
馬としては12年という短い命だったのに、
彼の命は決して短い言葉で語られないものになったような気がします。
生きた時間のほとんどを、努力と鍛練と挑戦で埋め尽くした彼の、
炎のような生き様を、
決して忘れないでいようと、そう思います。
まいさん、優しい言葉をありがとうございました。 -
するめさん
のど輪だ田上さん、こんばんは。
はい、わたし、ほんとうにトウカイトリックが大好きでした。
勝っても負けても好きでした。
居なくなっても、天皇賞の心の応援馬券は「トウカイトリック」です。
泣く。うえーん。 -
するめさん
エアウメッシュさん、こんばんは。
長い競争馬生活を乗り切ってくれたお馬さんなので、
丈夫で長生きしてくれるものだと信じ切っていましたから、
とても残念です。
辛い時に支えてくれたり、
勇気が出ない時に背中を押してくれたり、
馬券を買っていないのに勝った負けたと本気で心を動かしたり、
そうゆう存在を親友って呼ぶのなら、
トウカイトリックは私にとって、とても古く、心に近い、
そんな親友でした。
亡くしたのが、とても哀しいです。
エアウメッシュさんが書いて下さったとおり、
トウカイトリックが空の上の、
決してもう怪我の心配のないふわふわな雲の上で、
大好きな長距離を心のままに走れることを祈ります。
素敵な景色を想像させてくださって、ありがとう。