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2015/07/31 22:36
トレヴ(変化05)
次は、柔らかかった馬が、年明けから硬化した馬の例を
ラキシス----------------------------------
4歳初戦 京都記念4着
5歳初戦 大阪杯1着 ← 硬化
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ラキシスは本来、ディープ産駒牝馬ですし、上がり33秒台の切れ味を使ってG1を勝っている事から
しなやかで柔らかい馬でしたが、5歳の年明けの大阪杯を勝ちます。
G1や重賞で勝ち負けするような競走馬というのは、最大目標にしたレースを走り終えると、
一旦、オーバーホールされてゆっくり休養させるので、その次走は気持ちがボケるものです。
そして、長い息も出来ていないのでスタミナが最高潮の仕上げの時よりかなり劣ります。
気持ちのボケやスタミナ不安は、どんな馬の休み明けでもありえますが、
柔らかい馬にとっては、この2つは大きなマイナスです。
年明けを負けるパターンから説明した方が分かり易いと思うので、
ディープ産駒牝馬の休み明けを想定して書きます。
気持ちがボケ気味で、スタミナ不足な仕上がり、そんな柔らかい馬がレースを走る場合には
通常通りに乗るとボケの影響で仕掛けてからの反応が鈍くて差し損ねしやすく、
それを計算して早仕掛けするとスタミナ切れを起こしてしまう。
どう乗っても勝てない。詰んでいる状態です。
それが重賞で活躍するような日本の牝馬では、ありがちな傾向です。
ラキシスも4歳時の年明け初戦はそうでした。
しかし、これが体が硬化して来ると調教駆けが出来るようになり、
休み明けでも、そこまでスタミナ不足にはならないので仕掛けてからの反応のズレが致命傷にはなりません。
更に、ボケる可能性も減ります。
その理由を書くには、前提知識が必要です。
前に書いた人間の老化を再録します。
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人間の場合は老化すると、
知識が増える、その反面で、頭の回転は若い頃より遅くなる。憶えも悪くなる。
経験が増える、その反面で、もう成長はない。
精神的に大人しくなる、その反面で、血気盛んな意欲は無くなる。
そして、
体が若い頃より、硬くなる。
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知識が増え、経験を積み、落ち着きが出て、体が硬い。
この人間の老化で起こる変化を1つのゲシュタルトとして(統合的に)考えると、
老人とは、頭も体も硬い人間という事です。
過去の知識に縛られ、過去の経験に偏重し、冒険が出来なくなった頑固な思考をする人。
そういう人は、常識通りの行動をするので、当然、常識外れな行動はしない。
従って、無駄な動きが極端に少なくなり、同じ日常行動を繰り返す。
すると日常行動にない部分の脳の働きや体の働きは著しく低下します。
マラソンが趣味の老人なら10kmマラソンを完走できるが、そうでない老人は、
10kmなんて突然走ったら危険すぎる。
逆にマラソン趣味の老人にとっては、マラソンに出場する心構えは万端です。
練習の段階から本番を想定して体作りをして、作戦を練って完走を目指すと思います。
年寄りの競走馬は、レース経験が豊富なのでマラソン趣味の老人に近い存在でしょう。
年明けからボケる可能性も無くはないでしょうけど、厩舎入りや、調教段階でレースが近い事を知り
競馬場でレースを走る事を悟って挑んでくるのではないでしょうか?
そして、知識と経験に基いてレースを見据えた無駄の無い行動をする。
そんな訳で頭も体も硬いなら、休み明けのボケも、スタミナ不足も、致命傷ではなくなると考えられます。
まとめると、柔軟な馬は休み明けが苦手で、もし柔軟な馬が古馬で休養明けの年明け初戦を重賞で1着したら、体が硬くなってしまった証拠となる。
トレヴの年明け初戦1着を見て、硬くなったと考えた理由は、こういう思考からでした。
---つづく---