J1／広島vs名古屋

今日は第21節。今節最も注目を浴びたカードだったかと思われる王者＆現在首位の広島と現在5連勝中の名古屋の対戦。
両チームに共通するのは夏場で好調を維持している両クラブという点。前節も両クラブは勝利しぶつかり合った好調同士の対決は、珍しい程に静かな試合展開で始まった。


名古屋にとってはどうしても王者から直接勝って一気に勝ち点差を縮めておきたい絶好機。ましてや主力のFWケネディとMF中村を出場停止で欠く。その上広島のスタイルは前節に勝利した浦和と瓜二つのシステム。
名古屋としては浦和戦同様に相手が前に来たところを狙って得点し勝利をというプランが名古屋・ストイコビッチ監督の思惑だったように見えた。

しかし、対する広島は全くと言っていい程ボールを奪いに来ない。広島としても相手のミスを狙ってショートカウンターを仕掛けたいがためだ。

釣りたい名古屋と釣られずに待つ広島。名古屋のディフィンスラインやボランチの辺りを言ったり来たりボールが行き交う場面が続き時間だけが過ぎていく。観る者からすれば実にじれったく、「？」が頭に浮かんだ人が多かった事だろう。
しかし、これも「サッカー」。そして、夏場の戦いというのも90分で計算する必要性もある。戦略的な心理戦での我慢比べで、見方を変えればサッカーとして見応えのある前半戦だった。


後半に入ってからも前半も同様決定機は名古屋が多く作ってはいた。しかし、そこは去年の王者。耐えに耐えチャンスを待つ。我慢が実ったのが先制弾。広島のサイドアタッカー・ミキッチのミドル弾で残り15分あまりで広島が先制に成功。

現浦和のペトロビッチ監督から積み上げられて出来上がった今の広島のサッカー。森保監督としても攻撃サッカーをホームスタジアムで見せたかったと思われるところだが、これも相手との兼ね合い。理想通りじゃなくとも勝ちに持っていく「勝ち方」を形に出来る辺りが王者の強さを垣間見た印象。


試合はロスタイムに名古屋が追い付いてドローゲームに持ち込んだ。1点でも奪い王者との差を防ぐ事には成功した名古屋のストイコビッチ監督。

両監督の狙いと戦術の相互で作られたこの一戦。見応えのある好調同士の対戦だった。