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2013/12/05 13:39
2歳戦の重要性
阪神ジュベナイルフィリーズは、ハープスターが人気を集めそうな情勢。気の早い人は、牡馬も含めた世代No.1、ダービーも狙えるなどと騒がれています。
確かに新潟2歳ステークスの勝ちっぷりは鮮烈ではあったのですが、この時期の2歳重賞は頭数は多くてもメンバーレベルは高くなりません。「普通にオープンクラス級の力量がある馬」であれば、あれくらいの芸当はできると思うのですよね。かつて、シンメイフジが同じように新潟2歳ステークスで最後方一気の勝利を決め、直行した阪神JFで1番人気の支持を集めたものの敗れました。この再現にならないかどうか。
これまでも、早い時期の2歳重賞を勝って初秋は調整に当て、直行で暮れの2歳重賞に挑むパターンは数多くありましたが、どうも私はそのような使い方が好きではありません。「大事に育てる」と言えば聞こえが良いのですが、帰ってきたときには別の馬のようになってしまったというケースを数多く見てきています。早い時期から高いパフォーマンスを見せた馬ほど、安易に長期休養させずコンスタントにレースに使って、経験を積み上げるべきではないのか。
しかし、育てる側もやはりクラシックを展望することのウェイトが遥かに大きいでしょうから、2歳戦を数多く使いたくないという事情もあるのでしょう。ただ、先に挙げたシンメイフジは、結局その期待に応えることができず、3歳以降は交流重賞を1つ勝ったものの、全体的には大きなタイトルを得ることができないまま現役を去ることになりました。これはとても勿体無いことだと感じるのです。
今年、日本での産駒は初年度となるヨハネスブルグが、阪神JFに出走予定のホウライアキコなどの活躍によって注目を集め、来季の種付け申し込みが殺到しているそうです。ヨハネスブルグは、現役時には2歳戦だけで7戦7勝、重賞6勝、うちG1は4勝。ニューマーケットの伝統の2歳G1ミドルパークステークスを勝った後にアメリカに渡り、ダートのブリーダーズカップジュベナイルまで勝って芝・ダートの「二階級制覇」を果たすという凄まじい活躍を見せました。ところが、3歳になって一転、3戦未勝利のまま引退しています。典型的な早熟・早枯れタイプだったわけです。しかし、やはり産駒の仕上がりが早いことは種牡馬としては重要です。なにせ勝ち上がれなければ意味がないのですから。それに、早熟種牡馬の産駒が必ずしも早熟ばかりではなく、そこから大物が生まれることもあります。ヨハネスブルグからも、欧州に残してきた産駒から代を経て古馬重賞で活躍する馬も現れています。
ミドルパークステークスの歴代勝ち馬には、日本でもよく知られた錚々たる顔ぶれが並んでいます。古くはシンボリルドルフやメジロマックイーンの祖であるジェベル、トロットサンダーらの祖であるダンテ、近年でもスティールハート、ノウンファクト、ダイイシス、ロドリゴデトリアーノなどなど。日本では、こうした可能性を持った馬を数多く見過ごしてきたのではないか。
来年から、いちょうステークスが新設重賞になり、京都2歳ステークスがG3に格上げされる予定です。晴れてG3格を得る予定のアルテミスステークスや、G2に格上げ予定のホープフルステークスと合わせ、中央競馬も2歳重賞の番組整理に力を入れ始めたのではないかと思います。さらに重賞を新設する計画もあるのかもしれません。
これまで、日本ではファンも関係者も早期からの活躍馬を嫌う傾向が強かったように思います。「早熟」という言葉も悪い意味で用いられていたように感じます。しかし、ヨハネスブルグのように2歳戦だけの活躍馬からもサイヤーラインが紡がれているように、日本でもこの重賞改革を期に、早期からの活躍馬の価値の見直し、ファンの見識の進歩というものが必要ではないでしょうか。