タイでの心残り（紀州犬の化身闘神雑賀孫市和尚）

タイには色んな思い出がある国だ

闘いもあったし明石や山村と一緒に飲みまくったり非常に感慨深い

中でも一番の思い出というか心残りがある

タイにはエイズに感染した方達が家族に棄てられたり様々な事情でエイズ患者の皆さんだけで死を待って暮らしているお寺がある

私と明石は毎年、そのお寺に御布施に行っていた

ある時にエイズ患者の皆さんが共同生活しているとても大きな部屋へ案内してもらった

その時の皆さんが私と明石を見る目は絶望感というか何とも言い難い目だった

自分も明石も微妙な気持ちになったが何とかこの重い空気を変えないとと考えてた時に髪の毛がほぼ無くなってる女性と私が目が合った

女性は私に果物を食べるか？と言ってトゲトゲの見た事の無い果物をくれた

しかし、食べ方が解らなくてどんくさい事をしてたらその女性が貸してみろと手を出してきたので渡したら簡単に皮を剥いて私に返してくれた

しかし、正直なところ少し食べるのを一瞬だけ躊躇したが一気に食べた

その時に他のエイズ患者の方達も初めて笑ってくれた

明石も、場が和んだのを感じたようで笑顔を見せた

私は、その女性に必ず会いに戻ってくるから絶対に生きて待っておいてほしいと自分の中で誓った

でも、結局は仕事が日に日に修羅場になっていって行く事が出来なかった

もう、その女性はお亡くなりになってるだろう

私は、それがいつも頭の中に残ってるんだ

誓いを果たせず申し訳なかったってね…


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