自分で先行するぞ！（闘神雑賀孫市和尚）

約２年近く悩んだ

和歌山に落ち着かざるを得ない状況になった途端に和歌山の悪しき流れに巻き込まれてしまい今の自分がある

流石に凹んだよ

何もかもを全て失ってしまったんだからな

しかし、こんな自分にでも期待してくれている人間が１人でもいる限り絶対に諦める訳にはいかん

本人が出来ない代わりに自分に期待して応援し続けてくれている人間が少なからず存在している事は本当に有り難い

自分に出来る事は皆の期待を裏切る事なく前進あるのみ

思えば常に２番手を走ってきた

明石の豪快パワー先行に千切れないように注意しながら３番手の山村の援護も受け自分は明石が踏み出すタイミングを見極め敵の捲りを外に振り上げて常にゴール板を３人で駆け抜けてきた

元々、自分は先行型の人間だ

でも、前は明石に任せて自分は二番手でレース全体を見ながら走り続けてきた

どんなに強くても競輪は１人の力では勝てない

あの、強力な明石と言えども１人では限界があっただろう

二番手の自分や三番手の山村がいてこその圧勝だったのは間違いない

競輪は世の中の仕組みをそのまんま反映していると自分は常々考えている

明石でさえ１人では頂点を極められなかったのを今のボロボロの自分が単騎駆けしてどこまで通用するかは自分でも判らない

だが、自分も先行屋の端くれの人生を歩んできた

今では明石も山村もいないから自力勝負しかない

どれだけ惨敗が続こうが走れる限り走ってみせる

身体の限界なんかとっくの昔に超えてしまってるから今更ノンビリしたいとも思わん

１人で走り続けてたら誰かが番手に付いてくれる人も出てくるかもしれんから自分は頑張る

気がつけばラインが５人になって先行一車になってたとかを夢見て走ってみる

和歌山なんかの理不尽に負けてたまるか

駆ける！


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