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2013/12/23 01:06
池添騎手の「日本競馬」とは
池添騎手のインタビューにあった「これからも日本競馬をよろしくお願いします」という言葉。
凱旋門賞で騎乗できなかった悔しさなのか、あるいはオルフェ陣営への批判も含まれているのかはわからないが、少なくとも何かとても烈しい主張が込められているように感じるのは、私だけだろうか。
有馬記念はJCと違って、海外からそれほど注目されているレースではない(実際、スミヨン騎手も来日するまでは有馬記念を見たことがなかったと語っている)。
おそらく日本人しか見ていないであろうその有馬記念で、日本人の競馬ファンに向かって発言するならば、単に「これからも競馬をよろしくお願いします」でよかったはずである。わざわざ「日本」をつけて発言したことに、私は特別な意味を感じたのだ。
有馬記念は、この一年の総決算。
やはり池添としても、オルフェの出るレースに騎乗できなかったということは相当悔しかったはずだし、特にわざわざフランスへ武者修行に行った努力が報われなかった無念は今年最大級と言っても過言ではあるまい。
そういった悔しさを、今年最後の大レースできれいに清算したいという気持ちは当然あったろう。マイナスの感情を来年に持ち越さないためには、やはりあの公開の場で、何らかの形で踏ん切りをつけずにはいられなかった。
レースを8馬身差でぶっちぎって勝っても、まだ片づけられない気持ちが、池添にごくごく自然な形で、「日本」という言葉を発せしめたのだと思う。
そのたった2文字の言葉には、「日本人騎手をなめんなよ」という強い主張のほかに、凱旋門賞という他国のレースに熱狂する日本人への皮肉めいた指摘も感じずにはいられなかった。「フランスまで行かずとも、素晴らしい競馬がここにあるのに」という、一人の日本のホースマンとしての静かな、それでいて確固たる思いが、そこには確かに滲み出ていた。