465件のひとこと日記があります。
2017/01/19 17:02
JRAのプリンセス、藤田菜七子インタビュー前編 其の1
2016年、中央競馬から16年ぶりにデビューした女性騎手、藤田菜七子。3月のデビュー以来、常にその一挙手一投足に注目が集まった。ファーストシーズンは中央競馬での6勝に加え、地方競馬でも8勝を挙げ合計14勝の成績を残した。1年目の騎乗を終えて、藤田騎手は自身をどのように振り返り、評価するのか。そして、2年目のシーズンが始まり、何を思うのか。その心境を聞いた。
――まず、月並みですが、昨年3月にデビューをして約10ヶ月。藤田騎手としては、この間をどう感じていますか?
「あっという間、というのが率直な感想です。毎日毎日やること、覚えることが多くて、それをこなしているうちに、気がついたら最初のシーズンが終わっていた。本当に早かったなという感じです」
――デビュー1年目、自己採点すると何点ですか?
「うーん(少し考えて)、100点満点で40点ぐらいですね。60点減点での40点ではなく、自分がデビュー前に思っていたうちの4割ぐらいできたかな、という意味での40点です」
――その4割というのは?
「まず、1年通してケガなく乗り切れた、という点ですね。ケガをしてしまっては、元も子もなくなってしまいます。そういった意味では、まずは1年間しっかり乗ることができたことは評価したいです。もちろん、乗せてくれた調教師さんや馬主さんあってのことですから、そこは感謝しきれません。ただ、なかなか思うようにできなかった、難しいなという思いも強いですね。そういった意味では40点が自己評価の上限です」
――自己採点は厳しいですが、シーズン通して楽しかった、よかった思い出はありますか。
「やっぱり、勝てたレースになりますかね。(中央での)6勝全部が印象に残っています」
――その中でも、一番印象に残っているのはどのレースになりますか?
「中央で1番最初に勝たせていただいた、福島でのレースですね」
――ゴール前から場内、拍手と大歓声でしたが、あれは聞こえていましたか?
「はい。とてもよく聞こえていました。デビュー戦で2着のときもゴール前で伸びたときにすごい歓声が聞こえましたけど、やはり先頭に立った分、それよりもずっと聞こえました。なかなかこういったことはないので、とてもありがたいです」
――個人的には、中央でのデビュー戦に騎乗して2着になって、その後、勝ち星をプレゼントしてくれたネイチャーポイントとのコンビは、藤田騎手の昨シーズンを象徴するひとつかなと思うのですが。
「あの馬は自厩舎の馬なので、調教もずっと乗らせてもらっていました。2着になったデビュー戦のあと、少しゲートでの駐立(ちゅうりつ)が悪くなってしまったんです。そこを改善するために、毎日毎日、雨の日もゲート練習に厩務員さんも一緒に行って、練習してきたんです。その成果もあったのか、コンビ3戦目のレースではゲートでも悪いことをしなかったですし、それで勝てたのはすごくうれしかったですね。レースにだけ乗って勝ったのではなく、追い切りにも何度も乗っていたので思い入れもありました。クセも事前に把握できていたので、競馬のイメージもしやすかったのもあります。ただ、勝てる騎手というのは、そういった機会がなくても、いきなり結果を出しますから、早くそうならないと、とは思っています」