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2017/01/20 23:02
JRAのプリンセス、藤田菜七子インタビュー後編 其の1
前編では藤田菜七子騎手にデビューシーズンを振り返ってもらったが、後半では海外での騎乗の話に始まって、プライベートな部分まで話は膨らんだ。
――昨年はイギリス(騎乗馬が出走取り消しとなってレースには騎乗せず)、アブダビ(UAE)、さらに今年はマカオ(1月21日騎乗予定)と、海外でも騎乗する機会を得られました。環境が変わって、レースの質も違うところで乗るというのは、どのように感じましたか?
「すごく新鮮でした。デビューしてすぐにこのように行かせていただけて、すごくありがたいです」
――イギリス・サンダウン競馬場では騎乗馬が取り消しになってしまったとき、少し涙を浮かべていたようですが。
「あれは馬に落とされたショックが理由ではないんです。パドックで馬がひっくり返って競走除外になったのですが、出馬表に予備馬みたいなものが記載されていたので、てっきりその馬に乗れるものだと思っていて。落ちた衝撃もほとんどなくて全然痛くなかったので、『さぁ別の馬で』と思っていたけど、結局、乗れないことになり……。事前にコースも全部歩いて、どんな特徴か、どこで仕掛けるか、全部考えていて、しかもせっかくイギリスまで来たのに……という思いもあって、あんな感じになりました(苦笑)。ただ、主催者のご配慮があり、アブダビで騎乗機会をいただけることになりました」
――そのアブダビが海外初騎乗となったわけですが。
「アブダビのレースもすごくいい経験になりました。日本では女性騎手と一緒に乗る機会は地方競馬に行かないとありませんし、フルゲート全員女性騎手となると、今のところ日本ではないので」
――みんな、体がゴツかったですね。
「みんな普段から前へ前へと出てきて、気も強いんです。そして、レースでもやっぱり強気なんですよ。声の出し方なんか、日本の騎手は「危ない」とか「ここにいるぞ」とか言うくらいですが、あっちの女性ジョッキーはもうずーっと叫んでいましたよ。言葉がわからないんで、何を言っているのかはわからなかったんですが、ゲートを出た瞬間から『おりゃーっ!』って具合に叫んで馬を出して、道中も後ろで『どけー!』と言っているのか、馬を叱咤しているのか、やっぱり叫んでますし、最後の直線ももちろん『おりゃーっ!』って叫びながら追っていて、騎乗だけでも体力使うのに、すごいなーって(笑)。なかなか日本では考えられないので、文化の違いを感じました」
――藤田騎手も日本で叫ぶようになったり?
「それはないんですけど(笑)。より強い気持ちを前に出して、レースしなければならないな、とは思いました」
――今月のマカオも楽しみですね。
「マカオで騎乗したことのある騎手って結構多くて、いろいろな人が教えてくれますので、情報収集はしています。武豊騎手と一緒に参加できるのは心強いですね。緊張もしますけど(笑)」
――デビューシーズンだけで、地方も含めるとかなりの競馬場で騎乗しました。今の段階で、好みの競馬場とかコース、または逆に難しいコースってありますか?
「どのコースも簡単ではありませんが、気持ちのうえでは、東京のダートコースは3回勝たせてもらったこともあって、好きなコースといえますね。地方も競馬場によって、まったく特徴が違いますけど、名古屋競馬場は砂の質も違って印象的ですし、(女性騎手の)宮下瞳騎手や木乃前葵騎手もいて、私も頑張ろうという気持ちになります」
――乗ってみたい馬はいますか?
「現役ですと、キタサンブラックとか強くて格好いいなあと思います。昔の馬で挙げると、ダイワスカーレットが好きでした。有馬記念はすごく印象に残っています」