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2013/05/27 11:03
日本ダービー回顧
第80回の記念レースにふさわしい熱戦が繰り広げられた。
あまり普段は競馬は観ないけどダービーだからレースを観た、あるいは馬券を買ったという人々が心の中に留めやすい馬名の「キズナ」が勝ったというのは80回を祝う競馬の神様からの贈り物。
これをドラマや小説にすればベタな展開となってしまうのだが「事実は小説よりも奇なり」というわけではないが競馬は時としてドラマを上回るドラマチックな結末になるから面白い。
今回、80回目の日本ダービー。日本の競馬はもはや国際的に疑いの余地もない競馬先進国なのだが不思議な事に今現在において日本ダービー馬からまだ海外でG1レースを勝った馬はいない。皐月賞馬や菊花賞馬からは海外G1ウイナーは出現しているのに、だ。
「ダービー」は世界共通の言葉。日本のダービーを勝った馬が世界のG1レースを勝てば更に競馬ファンの夢が広がる。日本ダービーを夢の終演にしてしまうにはあまりにもったいない。
日本ダービーを予想する基準が「世界に通用するか?」になれば競馬はもっと楽しくなるはずだ。
さてレース内容だが先行したアポロソニック(勝浦騎手)にベテラン藤田騎手のメイケイペガスターが絡む展開。前半1200m通過が1分12秒2。後半1200mがほぼ均等の1分12秒1だからペースが遅いと判断しての藤田騎手の思いきったレース運びは間違っていなかった。
レースは遅すぎず早すぎずの各馬が力を発揮できる流れ。1着キズナから15着のマイネルホウオウまでが1秒以内に収まるという極めてクリーンかつ、手に汗握る最後の直線の攻防になり結果としてレースの流れを読む騎手の力量が問われる内容になった。
武騎手はこれでダービー5勝目。キズナに騎乗するのも5度目。ダービーに勝つ為に必要な事もわかっていたしキズナがダービーで能力を発揮する為に必要な事もわかっていた。キズナの内に刺さる癖を知っていたから前走右回りにもかかわらず左ムチを試したりダービーを想定した騎乗をした。
人も馬も1度はダービーが遠退いた中で過去のデータで圧倒的に信頼のおける皐月賞組みを差し置いての1番人気。そしてダービー制覇。
ダービーの1番人気は競馬ファンがこういうドラマが見たい。こういう感動を味わいたい、という気持ちをぶつけての1番人気。だからダービーで1番人気での優勝は本当に祝福される。
心から「おめでとう、そしてありがとう!」である。
エピファネイアは馬体重が示す様にギリギリの仕上げ。発汗も目立っていたが特にレース中、気負うところもなく福永騎手も上手に騎乗していた。中間ソエの兆候が出ていた様に骨がまだ成長途上。これから秋に向けて体ももっと大きくなるはずだしダービーについてはこれが現状、力を出しきれていた。
そしてキズナもエピファネイアも菊花賞に向かう公算は低いから3着に踏み留まったアポロソニックのスタミナは忘れない様にしなければならないだろう。
…そしてダービーが終ると競馬ファンには夏風が吹いてくる。その風の向こうに来年のダービー馬がいるのだ。