桜花賞直前予想PART２

続く２番手が現王者のレッドリヴェール。
デビューから２戦無敗で札幌２歳Ｓを制した後、ぶっつけで挑んだ阪神ＪＦでは２頭に唯一の土をつけ、文句なしの２歳女王となる。
圧巻だったのは、記録的な極悪馬場の函館競馬場で行われた２戦目の札幌２歳Ｓ。超前残り傾向の馬場でダントツの上がりを使い、 上位５頭の中で唯一後方から追い上げたこの馬は正に異次元の競馬をしたと言える。新潟２歳Ｓのハープスターとは異なる意味かも知れないが、こちらも次元の違う末脚を持った紛れもなく怪物である。

しかし実際のところ、この馬は２歳時にハープスターのように怪物として評価されなかった。その理由として考えられるのが、両重賞のレースレベルに差があると思われていたことだろう。
ハープスターが怪物ぶりを発揮した新潟２歳Ｓは、その出走馬が直後に次々と活躍して、伝説の一戦ではないかというように評価されたが、札幌２歳Ｓの出走馬はその後目立った活躍を見せず、レッドリヴェールも低レベルのレースを適性だけで勝ったにすぎないというようなことをささやかれていた。
ところがここにはとんでもない後日談が用意されていて、年が明けてから札幌２歳Ｓ出走馬の快進撃が始まった。つまり、出走馬は極悪馬場で消耗されて不振に陥っていただけで、レースレベルは決して低くなかったのである。
そしてそのレースを制した上で調子を維持して２歳女王に輝いたこの馬こそが、正真正銘の怪物という見方もでき、世間で言われる怪物のハープスターを凌駕するポテンシャルを秘めている可能性さえあると言える。
根性や粘りだけの馬で不良馬場でこそと思われている節もあるが、良馬場で同じポジションからハープスターと末脚比べになっても切れ負けしない可能性もないとも言えないのだ。

とにかく勝負強い。大舞台、さらに消耗戦に滅法強く、接戦では抜群の力を発揮するステイゴールド産駒の典型とも言えるタイプであり、実力でハープスターをねじ伏せることが出来るとしたらやはりこの馬しかいないだろう。

鞍上に関しては岩田騎手や外国人騎手のように追えるタイプで、タイトな競馬やタフな展開への対応力も高い騎手なら言うことなしだったが、実際に前走でＧ１を勝っている戸崎騎手なら大きな不安もないでしょう。

血統面から無理矢理にでも不安点を何とかあげるとしたら、父の大物はこれまで牡馬ばかりだった点、深く掘り下げていけばスピード偏重とも言い切れないが成長力にやや疑問の米血で固められた母系（そもそも配合例自体が少ないのかも知れないが、ステイゴールドとアメリカ産牝馬の組合せで成功例はない）と言ったところだろうか。
戦績を見ての通り、前例のない快挙を成し遂げて来たこの馬にとっては重箱の隅をつつく程度のレベルではあるが、血統的には早熟馬だった可能性もゼロとは言い切れない。
そのため、馬体重の増加具合に注目していたが、どうやら前走とほぼ替わらない模様。休養地の山元との長距離輸送も影響しているが、少し残念な印象は否めない。

ぶっつけ本番が不安視されがちではあるが、個人的にはこの馬に今更それはないだろうと思っている。
ロジユニヴァースのように間隔が空いてこそ力を発揮できるというタイプかも知れないし、飼い葉を５回に分けて与えると言った陣営の努力、工夫によって予定通りの負荷はかけられているようで、乗り込みをセーブしなければならないような深刻な馬体減りはないと言うことなので、臨戦過程に関して今のところ不安に感じる必要はないと見ている。
ただ、当日の馬体重にはやはり注意したい。僅かでも増加していたり、せめて増減なしなら大きな減点にはならないが、万が一減っていたときは陣営の調整に狂いが生じたと見て思い切って評価を下げたい。

他の２頭に比べて結果が極端になりそうな印象が強く、この馬の取捨がこのレースの予想で最も大きなポイントだと考えているため、当日はギリギリまで注目が必要な一頭ではないだろうか。