ディープインパクトより先に空を翔んだ馬

ステイゴールド急死のニュース。

彼らしいと言えば彼らしい、衝撃的な去り方か。

善戦マン、シルバーコレクター、などなど、気性の激しさが災いして勝ちきれないが
そのキャラクターから愛さずにはいられなかったこの馬。

自分にとってナイスネイチャは世代じゃなかったので、初めて出会う不思議な馬だった。

国内では惜敗続きで、苦難の末に重賞制覇を果たすも、
やっぱりＧ１では勝てなくて。

そんな馬が、海外初挑戦のドバイＳＣ(当時はＧ２)で前年の世界王者ファンタスティックライトを撃破し、
世界に種牡馬サンデーサイレンスの名を知らしめた。

父に海外重賞初勝利をプレゼントしたのは意外にもこの馬。
(重賞100勝目も確かステイの目黒記念だった気がする？)

その後、国内ではやはり勝ちきれず、いよいよ引退レースの香港ヴァーズ(Ｇ１)を迎える。

直線では先に抜け出したエクラールと絶望的な差。
グイグイ追い上げ２番手に上がった時点で、
さらに遥か彼方にもう一頭、万事休す。

しかし、奇跡は起きた。

日本中の競馬ファンが目を疑った。

「これがあのステイゴールドか？」

瞬く間に逃げるエクラールを捕らえて見事差し切り勝ち！

鞍上はもちろん武豊。
劇的な勝利の背中にはいつも彼がいた。

「まるで背中に羽が生えたようだった」

レース後の彼のコメントは、数年後、また別の馬に繰り返されることになるが、
その馬とは似ても似つかぬキャラクターで愛され、惜しまれつつもターフを去る。

そしてその産駒たちは父ステイにも負けないキャラクターで
さらにファンの心を掴んで離さない。


ステイゴールド、お疲れ様。

心からご冥福をお祈りします。