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2013/05/16 16:18
横浜で輝いた背番号6
藤田は、感無量であった。
5月15日、対横浜DeNA2回戦で、馴れ親しんだスタジアムのお立ち台に戻って来たのだ。
昨年の途中、トレードで横浜から仙台に拠点を移した。
心機一転、楽天イーグルスで結果を残し、星野監督からも新チームリーダー候補に指名される程の信頼を得た。
今季に入って序盤戦は攻守に精彩を欠いたが、暖かい5月になると、試合を決定づけるタイムリーを量産した。
藤田一也は、楽天イーグルスになくてはならない存在となった。
クリムゾンレッドのユニホームに身を包んだ藤田を、横浜のファンは拍手で迎えた。
かつて過ごした本拠地からの、温かい声援であった。
それだけに、そのファンの前で「より一層進化した自分」を見せたかった。
2回表、2死2・3塁から三遊間を破るタイムリーヒットを放ち、スコアを1対1の振り出しに戻した。
6回表、1死1・3塁では好球を見極め、しぶとく叩きつけて3塁手・中村の頭を越した。
さらに8回にも安打を重ね、プロ野球選手となった横浜の地で「猛打賞」を獲得した。
ヒーローとなった壇上の男を、楽天ファンも横浜ファンも拍手で讃えた。
藤田も思いっきり胸を張って声援に応えた。
「いい気持ちでした。こういう姿を見せられて、本当によかった。」
言い終えて、藤田の目が潤んでいるように見えた。
背番号6が、横浜スタジアムで大きく輝いた。
ヒーローの映し出されたビジョンの後方には、横浜を象徴するランドマークタワーがそびえ立っていた。