人生の宿敵

｢（巨人は）私の人生の宿敵だから。勝ちたかったけど…。｣

５月２３日。対巨人２回戦を先発･美馬の大乱調で失った後、星野監督が淡々と応えた。

少年時代は、憧れの巨人軍であった。
大学を卒業してプロに入る時に、憧れの巨人に裏切られた。

少年の憧憬は、若者の敵対心に変わった。

竜のユニホームを着て、巨人に異常なまでの闘志を燃やした。
強い巨人を倒す事が、星野仙一の原動力となった。

中日で２度、阪神で１度指揮を取った際にも、｢闘将･星野仙一｣は常に巨人に牙を剥いた。
命懸けであった。
見境など無かった。

｢巨人に入団していたら、今の俺はいないだろうな…。｣

そして、楽天の指揮官となった今でも、宿敵に対しての闘争心に揺るぎがない。

巨人との本拠地対決は１勝１敗。
｢（巨人との対戦は）まだ、東京ドームで２つある。｣
淡々と話し終えた闘将の言葉は、すでに次の決戦を見据えて闘い始めていた。

星野仙一の闘争心は、生涯巨人に屈する事はない。