７人のツーベース

その光景は、まさに疾風迅雷であった。


楽天が、３対３に追いつかれた直後の、５回表一死…

まず、銀次が一塁線を痛烈に破った。
ＡＪの打球が、中堅の頭を越えてフェンスへぶつけた。
マギーグラブを弾いた。
枡田が、左中間を深々と破った。
圧倒的な打撃力で、試合を支配し始めた。

日本ハム先発の吉川が、ＫＯされた。

ニ死後−。
嶋が、右翼手大谷の頭を越える。
島内が、四球を選ぶ。
粘った岡島が、レフトの中田を背走させフェンスに当てる。
藤田もまた、中田を背走させた。

クリムゾンレッドが、疾風怒涛の如く駆け抜けた−。

７本のヒットは、全てツーベース。
１イニング７人のツーベースは、プロ野球の新記録となった。

いつもは激励の拍手が起こる札幌ドームが、スリーボールになっても沈黙していた。

その後も、白球は頭を越え続けた。
それは、楽天の強さの証明であった。
５回表に、「７」が点った。

札幌ドームの空間を、いつまでもクリムゾンレッドが疾走していた。

その光景は、覇権の交代を物語っていた…