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2013/08/19 23:01
目を、背(そむ)けるな!
キャプテン栗山の打った痛烈な当たりが、ライト前へ「ザクッ」と落ちた!
三走に続いて、二走ヘルマンが三塁を回って突進して来た!
バックホームされたボールが、やや左に逸れて、キャッチャー嶋の体が三本間に重なった!
ボールがミットに入るや否や、ヘルマンの左肘が嶋のミットと左腕を捉え、そのまま体ごとぶつかって来た!
嶋のミットは、ボールと共に弾かれてしまい、嶋の体はホームベース脇に崩れ落ちた!
西武ライオンズ、逆転サヨナラ勝ち!!
殊勲の栗山が、一塁コーチと激しいハイタッチをした後、楽天ベンチを一瞥して、怒号を上げて吠えた!
その端正な顔は、怒り狂っていた。
ガッツポーズが、何度も弾けていた。
奇跡の逆転劇に、西武ナインがヒーローを迎え、怒りの顔に、歓喜のウォーター・シャワーがかけられた。
勝利に沸き返った獅子達の、勝利のセレモニーが始まった。
その脇で、楽天ナインとコーチに囲まれた嶋が、倒れたまま動かない。
この二日前の8月16日、田中将大に開幕17連勝された直後、勝利のハイタッチに喜ぶ楽天ナインを、西武ナインが茫然(ぼうぜん)と見つめていた。
自力優勝が無くなったその瞬間から、谷底に落ちた獅子達が、何かを見出だした。
そこから、二夜連続のサヨナラ勝ちを演じた。
栗山が、ようやく冷静な面持ちになり、ベンチに一度座った時に、嶋がやっと起き上がった。
左腕が曲がったまま、楽天ナインと共に、一塁側ベンチに戻るその姿は、荊(いばら)の道を歩き始めたチームを象徴していた。
ライオンズ勝利のセレモニーを背後に受けて、楽天ナインは何を感じていたのか…。
悔しさを焼きつけろ!
今こそ、目を背けるな!!
L12X−11E(西武−楽天17回戦)