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2014/08/30 20:48
世界でいちばん貧しくて美しいオーケストラ
日記のタイトルは本の題名です。
副題は『エル・システマの奇跡 』
二週間ほど延滞したのを、今日図書館へ返却しました(笑)
ベネズエラで成果を上げ、アメリカを始め世界に飛び火を見せる、子供のための音楽プログラム『エル・システマ』
それについて取材したアメリカ人のジャーナリストによるノンフィクション本。
システマの対象となるのは、貧しい環境にある子供たち。
麻薬やギャングが身近に存在する、未来に悲観的な立ち位置から、『音楽』というコミュニティを通して子供たちを守り、明るい場所を生きる大人に育てていこうというもの。
読んでいくと「本当にそんなに都合良く運用できるのか?」と疑問も沸きますが、このシステムの基本理念は柔軟性と多様性です。
限界を設けないのが強力な長所。
更に驚くべきことは、インタビューに答える関係者に、否定的な思考や発言というものが全く見られない。
そういった指導者に見守られる子供たちは、多少の競争意識はあるのでしょうが、一様に音楽に満たされる時間を謳歌しています。
他者とは貶めるものではなく、お互いを助け合うもの。この点が非常に徹底してます。
最近盲導犬のニュースを始め、Jリーグでバナナとか、隣国へのヘイトスピーチとか、少しおかしい事件が多いように思うのですが、根底にあるのは対象を貶めて、自己優越性を異様に誇示しようとする姿。(犯人は捕まってませんが)
これらネガティブな行動を選択する彼ら(もしくは彼女ら)が、システマのようなポジティブなエネルギーを持つコミュニティの中で育っても、人に対して否定的な言動を取るのだろうか、と想像の範囲ですが想いを馳せます。
このシステムは社会の荒廃への抑止力と成り得るのです。
本では伝えきれないところは、システマの申し子ドゥダメルと、精鋭たちによるシモン・ボリバル交響楽団の演奏風景を観れば納得出来るはず。
「こんなオーケストラ、観たことないっ!」て思いましたもん。