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2021/11/22 06:17
次の景色を見せてくれ(11/20Dヴュー・Gシエロ)
ダンテスヴュー。アメリカ、デスバレー国立公園の展望台の名称。眼下に広大な塩原、真ん前に園内最高峰のテレスコープ山を望む谷そのものを見渡せる絶景ポイントを言う。スケールの大きさを体現化し、現在の競馬界にそれこそ偉大な影響を及ぼしている金子真人氏の名物牝馬から生まれた第13子。血統図そのものがCAD化してそうな同氏の信念から外れ、初仔のキンカメへ原点回帰したこの勝つべき宿命を背負った子は、1度負けた上での1勝からさらに高見にある景色を見せてくれるのか。
グランシエロ。イタリア語で「壮大な空」のことだと言う。上場したが値段が上がらず、再上場でもその値のまま落札された大型のハーツクライ産駒。地を見る低空飛行から始まったその発進も、デビュー前調教に跨った主戦三浦皇成の「素晴らしい動きを見せていて、高い将来性を感じる」との弁を受け、小さな翼に期待の風を孕み始める。6月中旬の若駒にとって新しい年が始まったばかりの新馬戦。少頭数ながら下馬評の高いメンバーの揃った骨っぽい番組で、グランシエロは4番人気ながら勝ち馬にクビ差の2着にまで迫り、その滑空は上昇に転じる。1月後の2戦目で長い決め脚を使いあっさり勝ち上ると、3戦目のアイビーSでは5番人気ながらまたも勝ち馬にクビ差の2着。毎度出遅れては次第に加速していき直線で脚を伸ばして飛ぶ様は、その名をよりふさわしいモノとしていくかのようだ。ハーツの子らしく常に課題を抱えた「完成途上」。主戦パイロットに操られ、高見にある景色を見せてくれるのか。
指名馬2頭が出走するは、11/20東京11R東スポ2歳ステークス、芝1800。前走で強烈な印象を残して勝った馬たちが集まった、この時点でのクラシック候補を占うには十分な2歳重賞。全12頭の中、ダンテスヴューは府中のこの距離ではかなりの不利と言われる大外12番となる。そこへ昨今の外枠成績が振るわないヤネの川田Jも嫌われたか、人気は5番と大物候補とされながらも脇役の立場となった。グランシエロは6枠8番といいところへ入ったが、まあ順当な評価の7番人気。さて、どこまでやれるのか。いや...脇役端役の位置から見上げる我が2頭は、果たしてどんな景色を見せてくれるのか。
スタート。
グランシエロ...4戦目にして初めてゲートを5分に足りずぐらいでしっかり出る。縦長の馬群の真ん中らへんを行く道中。1000mを1分ちょいで回す平均ペースで外目に出しつつ回すワンターン。さあ、いつもはここからグーンと急上昇して羽ばたく翼。出遅れが常に祟り、後ろからになり過ぎてわずかに届かない星に今日はたどり着く期待を匂わせたまま、直線へ向く。あれ?勝負所ははるか先で繰り広げられている。追えども追えどもグランシエロ伸びず。重賞の高い壁に阻まれ、墜落した今回の結果は7着。
三浦J談「練習の効果でゲートは反応してくれたが、その分他の馬のリズムで走らされ、最後に脚が残らなかった。」これは誤算ながら、その不器用さが愛しくなる子。出遅れは欠点ではなく飛ぶために必要な滑走路なのか。次は思う存分羽ばたけますように。
ダンテスヴュー...大外不利の中、発馬もボチボチ。先手を取れなければ仕方なし。腹を括って待機へ。控えて下げて下げて、まだ引くか?ユーガJ思い切ったなぁ、グッと抑えて後方2番手を追走。1つ前の内を本命が行きマークする形に。3,4コーナーで一緒に上がっていくと思いきや、そのままルメール1番人気は外のルートを。ダンテスヴューは開いた内を突く形へ。さあ直線勝負。あー、外が伸びるって馬場もあったでしょうが、これは完全に力負け。本命イクイノックスはガンガン伸びて完全に抜け出す強い勝利。ダンテスヴュー、捌いて頑張って...どうにか差のある4着まで。
川田J談「成長過程で体のバランスが変わってるタイミングで、しっかり動けなかった。もう少し成長すれば本来の走りができると思う。」不安要素のある中、人馬ともに良くやってくれた方だよなぁ。
脇役端役のままでこの舞台は終了。まだ主役の背を見る景色は続く。次こそは..。