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2015/02/10 14:44
アッシュの時間(冬眠) 前編
眠っている。意気り猛り荒ぶ暴風の渦巻く魂のその中で、眠り続けている。
いつかそれが目覚める瞬間を、人は覚醒と呼ぶ。
覚醒は必ず来る。疑う必要はない。必ず来るのだ。
それが外気に触れた瞬間に弾けて消えるただの無の飛沫か、
それとも、次の時代を席巻し永劫に語り継がれる兄弟王者の誕生なのか。
目覚めいずるモノが、そのどちらなのかは誰も知らない。だが覚醒は必ず来る。
いずれ必ず来る。
アッシュゴールド、未だ一勝馬に過ぎず。
アッシュゴールドの掲示板は、出走レースが決まり当日が近づいてくるとコメントで埋まり、自信と希望、怒号と中傷が渦巻く嵐となって入り乱れて吹き荒ぶ。
発走が近づけば近づくほどイれこみ掛かる彼そのもののようだ。
ファンもアンチも覚醒を待ちわびる5戦目に選ばれたのは2/8 京都11Rのきさらぎ賞。クラシックを意識した他の番組編成の充実により、近年では、三歳王者に名乗りを上げるための登竜門の意味合い自体は薄れているこのレース。
とか何とか言うてもやっ!(←なんだか勝手に自分で作り出したこの空気に我慢できなくなったらしい)出走してきたのは全8頭。G3、賞金重ねるには都合いいこのレースに出てきたのがこの少頭数。何故??
そんなん決まってるじゃないですかいっ!?ゴリゴリに骨っぽい野郎(あ、失礼!+ゴリゴリに骨っぽいレディ1頭)が雁首揃えて集まってるからですわ。父・ディープインパクト、母・スイープトウショウ、両親G1合わせて10勝のベビー、レガッタ。同じく父・ディープ、母はエリザベス女王杯で鞍上の武を振り落として、史上初のカラ馬で勝利した馬、ポルトフィーノ(勝ちじゃねーよ)のキレとパワーのハイブリッド、ポルトドートウィユ。さらに同じくディープ産駒、気性難で伸び悩んでいるもののスピードはお墨付きの人気者、グリュイエール(チーズかっ?!←細かくしょぼいツッコミ入れるなっ)トーセンスターダムの半弟、未勝利勝ち上がったばかりとはいえ、とんでもない勝負根性の持ち主であることがその顔つきにいかにも出てるネオスターダム(単なる悪口?)。そして、現在4戦3勝の昇り竜ハービンジャー産駒ベルーフに唯一土を付けた...てか子供扱いして完勝した目下2連勝負けなしの女傑候補ルージュバック。この女子は輸送遠征、初の右回りコースも顧みずの参戦。どんだけ陣営が自信あるんよって話さね(この子、大竹厩舎だからね。プエルトがここの初の大物候補とかオレ言ってたけど、断然こっちかもなぁ)。
もうさあ、この少頭数で惨敗したら、いくら兵揃いとは言え、ビジュアル的にもさすがに立ち直れなさそうなんだけど、池江先生、そんなことまったく意に介してないみたい。レース前コメント「(前走は)イレこみがきつくてレース前に消耗し、さらにレースでも掛かった。中間(稽古)は自立心を養うように調整した。能力を発揮できれば。」と有名進学塾の講師みたいな、模試は気にせずあくまでも本番意識な発言。
主戦騎手も同じく。未勝利から2戦勝ちなしで下ろせコールも当然巻き起こる中、池添Jの直前追いきりコメント「今週はよく動いた(先週の稽古はメンコ被せられて走る気にならずマゴマゴ凡タイム)。オルフェーヴル(全兄)に比べても素質は負けず劣らずある。」何気にすげぇこと言ったぞ?だったら引き出してもらおうじゃねーかっ、謙一くんよぉ、その素質とやらを、あの爆走にいたる狂気をズルズルッとさっ(野次じゃないです。熱血応援コールですっ)
更に追加のドラマティックファクターが発生。なんかこう言う時は人知を超える畏怖の存在を感じるわねぇ。2/5に種牡馬のステイゴールドが種付け後に大動脈破裂で急逝。てか、うちの親父と同じ死因だなぁ..まあそれはどうでもいいけど、稀代の善戦ホース。愛すべきシルバーコレクターだった現役時代も懐かしいし、種牡馬としての産駒実績はG1勝利、19勝でディープに次いで2位だってねぇ。そして何より、ドリームジャーニーの、オルフェーヴルの、そしてアッシュゴールドのお父さんだ。
父に手向ける弔いの勝星なんつうと、逆に何ともチープに聞こえるが、実際そう言うことも多いんだってね。親が死んだ日とか週とかに走る産駒は人気薄でも勝ったりするって聞いたぞ。
小劇場での公演となったが、舞台も役者もそろいにそろった。さあ、行くかね?アッシュ。本道へと繋がるカントリーロードをっ。
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