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2014/06/29 13:48

恐れない心・語りかける心

2歳馬たちによるこの時期の新馬戦。
まるで子供たちの駆けっこ。
体もまだまだ出来ていなければ、
未経験の競馬におそらく心もドキドキ。
自信や不安、無事を祈る気持ちと期待する心…
ただの一ファンですらこんなに緊張するのですから、
おそらくそれを見守る関係者たちの心には
もっともっと大きく様々な思いが
一瞬一瞬形を変えながら次々と去来するのでしょうね。

そんな風に始まった新馬戦々。
全ての騎手たちが馬のことをいつも以上に大事に、
良き記憶が残るよう
嫌な思いをさせぬよう
気を遣い騎乗している姿が伺えます。
まだまだ競走馬生活は始まったばかり。
勝つ者も有れば敗れていく者も多数。
どちらにしても自分の持っているものを出し切れるように
頑張ってほしいですね。


そんなことを思っていたら
ふと思い出したある1頭のデビュー戦。
2008年10月26日
後に伝説の新馬戦と呼ばれるこのレース。
この日私の目をくぎ付けにしたのは
豪華なメンバーの競演ではなく
始めて競馬を走る1頭の牝馬を見事にエスコートする1人の騎手。


安藤勝己とブエナビスタ


新馬戦を見る前に良く思うこと。
できれば無理なく良い位置につけれる走りが出来たら…
そして好位から良い脚を伸ばせたら…
ほんの一握りにしかできない走りを期待してしまう自分の身勝手や欲望との戦い。

しかしそんな一競馬ファンの勝手な想いなどどこ吹く風。
馬の走りと能力を感じ、
無理や無謀とは無縁の馬との呼吸。
馬場の良い淀で後方馬群に位置する両者。
あの瞬間に安藤騎手がどんなことを考え思っていたのかは知る由もありません。
けれどもその道中その走りを見て感じたこと…

「これでいい。これでいいよ。」
と安藤騎手がブエナビスタに語りかける声が聞こえてくるような気がしていました。

ああ…とその時思ったのは、
このデビュー戦この人気で負けることや脚を余すことを
安藤騎手はこれっぽっちも恐れていないんだな、
ということ。
ただ馬のことを考え
能力はいつでも出せると確信し、
その瞬間の勝ち負けではなくその先をしっかりと、
そして強く見据えることが出来るその強い心と鞍下に与える安心感。
3着には敗れたものの
その見事なエスコートに応えた末脚は確信されたものであったし、
その後の未来を少しだけ確定させたものだったと今でも思います。


目先の一戦に負けることを恐れない強い心と
馬を安心させる優しい心。
安藤勝己騎手が見せてくれる競馬は、
他の騎手たちとまた一線を画していたように思う。

忘れられない新馬戦とその手綱捌き。
これから誰が馬とどんな会話をしどんな競馬を見せてくれるのか…
そして一つ一つのコンタクトをどう繋げていってくれるのか…
これぞ若駒の走りの醍醐味。
来年の優駿に向けて点ではなく線で、
それも美しい線で魅せて欲しいですね。

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