見るもよし見ざるもよしされど我は咲くなり

『大丈夫です』


竹村欣三作品


私が２度目の召集を受けて舞鶴に行った事はよく話すが、


東京に帰る列車を待っていると一人のご婦人が私に、


この列車は無事に走るでしょうか？


このところ敵機の機銃掃射を受ける事が度々あるそうですが、


本当に大丈夫でしょうか？と心配そうに聞いてきます。


私が言下に、何も心配する事はありません。


絶対に大丈夫ですよ。と言うものだから、ご婦人が、


『なんと自信たっぷりに､ものを言う人だろう』と言った顔をしていました。


そのくらい私は法華経に対して堅固な信念があった。


無事に東京駅に着くとその人が、


立正佼成会の会長さんでしたか、親戚が佼成会の近くに住んでいるので、よく存じております。


とにかく無事に着きました、と言って風呂敷包みから筍を２本出して、


『どうぞご宝前にお供え下さい』と言われてね。


あの頃は躍動する気持ちが溢れていたねと、


開祖さまが話されたのを、よく覚えている。


それは、若さによる自信過剰と言うのではない。


又、『自分など、とても』と謙遜するのでもない。


『一切は吾の力にあらず、仏さまのお力を頂いてお役を全うしたい』


と、言う真の謙遜さを私は感じるのであります。


私たちは『この苦しみから救って下さい』と､よく祈ります。



しかし、よく考えてみると苦しみから救って下さいと祈るから救われるのではないのです。


実は、『この苦しみが私を救ってくれるのだ』と思えた時に、救われるのではないでしょうか？


『見るもよし。見ざるもよし。されど我は咲くなり。』とは武者小路実篤氏の句です。


人が見ているからやる、


見ていないからやらないのではなく、


ただひたすら、なすべき事をなす。


開祖さまの生きざまは、まさにそれであった。


『大丈夫です。』のお声を信じて歩み続けたいと思います。


以上です。


ありがとうございました。


合掌。