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2012/07/27 19:52
ただ眠る食べる休む…深い休息が必要な時…
精神科医 高橋和巳
うつ病は、生命力が根元から枯渇してしまったようなものです。
例えば、食欲は生きるための基本ですがそれが全く出てこない。
疲れていても休みたいとも思わない。
生命エネルギーが働いていないのである。
勿論心も『精神運動制止』と言う重症うつ病の症状になっています。
必要なのは薬と体と心の深いレベルでの安心が必要です。
難しいのは心の安心を得る事です。
診断書を提出して休職している武井さんにお話を聞きました。
『どうですか?ゆっくりできていますか?』
『だめです…。やる気が起こらない』
彼女は私の質問には答えず、元気が出てこない事を訴えている。
私は質問を変えた。
『そうですか…。では夜は眠れますか?』
『ええ、12時間眠っています。』
『それは良かったですね』
私は薬が効いて体は休めているんだとわかりホッとした。
『でも、疲れはとれません。辛いです。』
大丈夫ですよ。
今は眠れていればいいです。
焦らないであまり先の事は考えないで、1日ゴロゴロしていて下さい。
それが休息になりますから。
『ゴロゴロしていていいんですか?』
『ええ、それが今一番大切なんです』
彼女の顔からホッとした表情がうかがえた。
心が深く休めるような安心とは、それは丁度、小さい頃に母親の側で…、
無邪気に遊び疲れて、いつの間にか、うとうとと眠ってしまった時のような安心であります。
皆さん方も思い出して下さいね。
お母さんのぬくもりを…。
子供のように、安心して眠る事が、
心の疲れを癒し、エネルギーを回復させるのです。
体の病気の場合は頑張りも必要ですが、
心の病気の場合は、頑張ろうとすれば、
かえって焦りと緊張、不安が駆り立ててしまいます。
『今は何も考えずにゆっくり休息する事、うつ病は必ず良くなります。』
私は同じ事を繰返し説明してその日の診察を終えた。
以上です。
くれぐれも熱中症には、お気を付けて下さいね。
合掌。