スマートフォン版へ

マイページ

339件のひとこと日記があります。

<< 本当の幸せは、人と比較をする虚栄心や嫉妬... ひとこと日記一覧 感性豊かな優しい孫のお陰で、季節の頼りも... >>

2013/06/28 22:48

小僧が大黒様に、みんな大変と言うに、のんびり笑うとは福を運ぶのが仕事じゃろうに…

〜塩買い大黒さま〜



昔、薩摩の国で塩が不足した年があった。



川内(せんだい)の泰平寺(たいへいじ)の辺りは特にひどく、


毎日の、煮炊きにも事かく始末でした。



寺でも、塩探しに走り回っておった。



そんなある日、本堂を掃除していた小僧どんが、


仏さまと、並んで座っておる大黒さまに、恨み言を言ったんだと。



みんな塩探しに大変だと言うに、大黒さまは、のんびり笑うておられるとは。


お前さまは、福を運ぶのが仕事じゃろうに。



小僧どんが大黒さまに、ぶつぶつ言い続けた数日後の事じゃ。


『大黒さまの姿が見えん。どうしたこった。』


和尚さんをはじめ、寺じゅうのみんなが大騒ぎじゃ。



けれど、どんだけ探しても大黒さまは見つからん。



しまいには、ネズミに取られたんじゃろうと、みな諦めたんじゃ。



数日後、川内(せんだい)の港に、


塩を一杯、積んだ船が、急いでやってきた。



その船の船頭は、数日前川内に、塩を急いで届けてくれちゅうて、



どっさり、お金を置いていった客がおったんじゃ。



変わった格好をした人でな、ふんわりした着物を着て、頭巾をかぶり、



大きな袋を、かついでおったよ、と言うのじゃった。



小僧どんは、びっくり仰天。



『そりゃ、うちの大黒さまにそっくりじゃ』あわてて本堂に行くと、



消えたはずの、大黒さまが、仏さまの横にちゃんと座っておいでじゃ。



しかもその足には今、歩いてきたばかりのように、境内の砂がついておったんだと。



『ひどい言い方して、すまん事し申した。ほんにありがとごわした。』



小僧どんは手を合わせて謝ったが、



大黒さまは何もしらんふうに、


笑ったままどっかりと座っておられたって。



故郷の仏教民話から鹿児島県のお話でした。


合掌。( ̄人 ̄)

いいね! ファイト!

  • チャコちゃんさんがいいね!と言っています。

    2013/06/30 00:33 ブロック

  • たか.如水さんがいいね!と言っています。

    2013/06/29 21:30 ブロック

  • 魔神牙さんがいいね!と言っています。

    2013/06/29 02:25 ブロック