隣の奥さんが、重いから私がやるわと私の手からネットを取って片付けてくれたのです。

『近所の奥さん〜』
渡井孝枝(71)



私の家の前に、近所の七軒が利用しているゴミ収集所があります。



ゴミの上には、カラスよけのネットを置いています。



収集所が去ったあと、いつもネットをたたんで我が家の車庫の隅に片付けていました。



ところが、いつの頃からかネットを片付けようとすると、


もう綺麗にたたんで車庫の隅に、しまわれているようになったのです。



ある時、それは向かいの家の奥さんの思いやりだとわかりました。



先日も、たまたま一足早く外に出てネットをたたんでいると、


丁度自転車で通りかかったその奥さんが、


『重いから、私がやるわ』と、私の手からネットを取って片付けてくれたのです。



このお宅の娘さんも、お母さんと同じように、折りにふれて気軽に手を貸して下さいます。



そのさりげないしぐさの中に、あたたかな心づかいを感じる優しいお嬢さんです。



こんな素敵なご近所に恵まれて私は幸せ者だな、と感謝する毎日です。



『ご苦労さん〜』
猿渡富美勇(82)



退職後、毎日が暇でボーッとしている時、


ふと思いついて、始めたのが家の裏にある、バス停付近の掃除である。



ある朝、いつものように掃除をしていると、『寒いのにご苦労さん』と言う声がする。



ふと振り向くと、バス停の前の赤信号で停車中の、ワゴン車から年配の男性が笑顔で手をふっている。



それが私への挨拶だったとわかり、一瞬体がジーンと熱くなりました。



常日頃、掃除をしている私を、見もせずソッポを向く人が多く、


あまつさえ、ほうきで地面をはいている傍で、タバコの吸い殻を捨てる人すらいてる。



そんななか、初めて見ず知らずの人から言われた、お礼の一言は心にしみました。



信号が青に変わり、遠ざかるワゴン車に頭を下げながら、



あの人もきっと、どこかで世の為人の為になる事を、しておられるのだろうなと思いをはせました。



いや、何より私自身、その人のお陰さまで、


一日を晴れ晴れとした気分で過ごす事が出来ました。



以上です。


少しの思いやり、少しの一言は、こんなに人を気持ちよくさしてくれるのですね。



合掌。(￣人￣)