大金星なハッピーバースデー

競馬を長く見ていると、時々、歴史的にすごい事に出くわすことがあります。ステイゴールドが勝ったドバイシーマクラシックは、そんなレースの一つだと思います。

ドバイシーマクラシック2001（ステイゴールド）
https://youtu.be/y0SfW2lqKZE

日本で重賞を２つ勝って、トゥザヴィクトリーの帯同馬として、ドバイ遠征をしたステイゴールドでした。当時は、日本馬なんて、そんなに相手にされていない頃でした。日本の競馬サークルの中では、リスクが多い海外遠征に消極的な陣営も多かったですし、今みたいに普通にドバイへ行くような時代ではなかったです。

まだ911同時多発テロ事件の前だったので、ドバイの競馬場（当時はナドアルシバ）はとてものんびりしていました。前日までにドバイワールドカップデーの入場券を競馬場に取りに行くシステムでした。そんなんで、競馬場に行って、チケットをもらったら、競馬場の散策もできました。中を散策して、笑えたのは、芝コースに緑色のペンキをまいていましたよ。だからドバイの芝コースはきれいに見えるんですよね(笑)。飛行機が深夜について、時差ボケだし、暇だし、今みたいにドバイで遊ぶところがないし・・・、では、とりあえず競馬場に行ってみるか・・・とタクシーで競馬場に行ったら、調教がゆっくり見られたと言っていた馬友さんがいました。今はセキュリティが厳しいので、今は昔という話ですね。

さて当日は、ちょっとドレスアップして、スーツ姿で競馬場に参戦ですね。残念ながら、ドバイは馬券は売っていないんです。１レースの前までに全レースの１着を当てるくじがありました。それを書いて投票箱にいれます。馬券みたいのは、それだけかな。後はご飯を食べたり、ジュースを飲んだり、適当に楽しんでいました。日が出ていると熱いんですよ、ドバイ！パドックは、馬とかなり近くて、馬を見るのがとても楽しくて当日はパドックにかじりつきでした。シーマクラシックの時間になってステイゴールドが出てきました。アウェーですから、陣営の方も日本人のこちらを見てくれました。

さてレースは、英国のブックメーカーのオッズでフランキーデットーリ騎乗の前の年のワールドシリーズチャンピオンのファンタスティックライトが断然の人気でした。スタートが切られて、うちで豊さんがフランキーをピッタリマークして、フランキーが追い出したところで進路が開いて、並びかけてゴールでした。レース後に馬友さんと「ステイゴールドの強いところが見られてよかったね。海外で２着、良く頑張ったね〜。ステイゴールドらしいなあ」なんて話をしていたら、「ちょっと待って、リプレイを良く見て下さい。ひょっとして、最後に差していない？？？」と馬友さん。自分たちも含めて、周りの日本人は、そわそわし始めました。そして、着順掲示板には、ステイゴールドが１着に点滅しました！周りの日本人で大喜びでした。その後、無事に確定！さらに日本人達は大歓声でした。
今は世界から日本馬は強いと認識されていますが、当時はG2とは言え、アウェーで、前年度のチャンピオンを倒すなんて、前代未聞のことでした。そして、ドバイシーマクラシックを勝った日は、なんとステイゴールドの誕生日でした。誕生日に大金星。それもまたすごい話で、ドラマチックです。しかし、今の皆さんなら、もうご承知だと思いますが、このレースは、勝つべくして勝ったレースでしたね。しかし自分がそのことに気が付いたのは、数年後です。

３月２４日は、そのステイゴールドの誕生日ですね。ステイゴールドの子孫達が良いレースをすると、目黒記念、シーマクラシック、香港ヴァーズを思い出します。

良い馬との出会いは、競馬の楽しみの幅を広げますね。